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屋根の上、空の下

2025.10.24

( Nordic Journal )




ヘルシンキの中心部に、街を見下ろすことのできるルーフトップバーがあります。見晴らしの良い丘や山、高いビルのないこの街で、街の全貌を見ることのできる数少ない場所です。


Ateljee Bar


ホテルのエントランスを抜け、エレベーターで12階まで。その後、とても狭い螺旋階段をぐるりと一周かけて登るとその場所へと辿り着きます。

「高い」と言えども、東京の高層ビルや赤いタワーには到底及びません。けれど、いつもと違った視点から街を眺めることができる。それだけでも大変価値あることです。

まず目に入ってくる(あるいは、無意識のうちに目が探している)のは、大聖堂。この日はすこし曇っていてすっきりとしない空気の中でしたが、純白とも言える美しい壁面が鮮明に目に映ります。

視線を左へと移すと今度は茶色の時計台が。ヘルシンキ中央駅です。白いかがやきを放っていた大聖堂とは対照的に、中央駅は周囲の壁の色や木々の緑に紛れて街に溶け込んでいます。

さらに左へ。奥にはフィンランディアホールとトーロ湾、その手前には現代美術館のKiasmaやソコスホテルが見えます。隠れていて見えませんが、市立図書館Oodiも画面の中央右あたりに。「ヘルシンキは自然と街の距離が近い」という言葉がわかりやすくこの写真に表れています。

さらに左へ、左へと視線をめぐらせると、遠くに海が見えてきます。カラフルな屋根をした街の建物は、まるで森の中に生えるキノコのよう。となると、エスプラナーディ通りの緑の塊は苔のようにも見えてきます。

見慣れた対象を俯瞰する、つまり違う視点・違うスケールで眺めてみると、「何か」とのつながりが明らかとなることがよくあります。例えば宇宙に浮かぶ惑星も点として捉えればひとつの大きな球体に過ぎませんが、地球という遠く離れた場所から俯瞰して眺めてみると、そこに「星座」という新しい輪郭線が見えてくるのです。


歩いて、見て、経験した街の印象も、俯瞰すること少し変わって見えてきます。物語の一部としてではなく、その“外側”にやってきたように感じられます。





まるで、小さな世界を覗いているよう。





街の屋根の上、空の下。


屋根の上、空の下

( Nordic Journal )

2025.10.24

Text & Photography : lumikka