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風景から写真、手紙へ

2025.11.19

( Nordic Journal )



たとえば、いま、世界のどこかでなにか美しい風景が存在しているとして。

その美しさを遠く離れた場所から感じることは、そう簡単なことではありません。私たちには、土地を実際に歩くことでしか得られない感覚が少なからずあるためです。

たとえば、いま、




どこか遠くの孤島に、虹色の光が降り注ぎ、





北の夜空が、みどりのカーテンに包まれて、





横断歩道で人々が信号を待っていたとして。





そういう風景が世界のどこかにあるのかもしれない。

きっと、そういう可能性が私たちの日常にはたくさん潜んでいるのだと思う。



それは、私たちが「フィンランド」という遠くはなれた場所にいるときに感じていたことです。いま、この瞬間にも見落としている美しい風景がどこかに潜んでいるのだと。偶然に出会うことができた風景を、自分たちの記憶の中に留めるために「写真」が存在するとするならば、それを、誰かと共有する手段として「手紙」というメディアあります。



ではもし、日本にいながら、フィンランドの日常の断片を覗くことができたなら。とめどなく流れてゆく風景の一部を、記憶の片隅に留めておくことができたなら。そんな想像を巡らせながら、私たちはフィンランドの風景を集めたポストカード=絵手紙を制作しています。







少し角度が違うだけで、対象への距離が違うだけで、風景の見え方は異なってしまう。だからこそ、私たちが歩いた/眺めた風景をできるだけそのまま共有したいと考え、使用している写真はすべて自分たちの撮り下ろしとなっています。




このポストカードは3枚1組のシリーズとしています。たとえば、掲載している写真のシリーズ名はWONDERLAND(ワンダーランド)。幻想的な光にあふれたフィンランドの風景をセレクトしました。言葉によって、「風景にひとつの視点を与える」というコンセプトです。





全てのポストカードに、撮影地点の位置情報(緯度と軽度)がちいさく記されています。たとえばこの「RAINBOW ISLAND」の写真には、60°03’29.0″N 24°37’17.2″E と記載しています。




その数列をGoogle Mapに打ち込むと…




このように、島の位置が特定されます。この写真は飛行機から撮影したので、厳密にはやや位置に誤差はあるのですが、それでも、切り取られた写真の奥に広がる風景が見えてくると、写真の見え方も少し変わってきますよね。

とはいえ、もちろん、ただの「ポストカード」としてお楽しみいただいても、ご紹介したように小さな数字を打ち込んで見てみても。写真の楽しみ方は、人それぞれに。




jpegの写真も印刷された写真も、同じく「写真」と呼ばれますが、それらを通じて得られる感情・感覚は似ているようで、何かが決定的に違っているようにも感じます。

日常の「偶然」が生み出した美しい風景が、まるで必然のような装いをして遠くのだれかに伝わったのならば。






なんだか、それもまた素敵な物語のようですね。










風景から写真、手紙へ

( Nordic Journal )

2025.11.19

Text & Photography : lumikka