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デザインを覗く|01. 線とリズム

2021.10.30

( Nordic Journal )






これは、ヘルシンキの自然公園ランマスサーリ(Lammassaari)で撮影をした写真です。フィンランドでは、このような白樺の風景が日常にあり、デザインなどのモチーフとしても度々選ばれています。白樺の木はサウナで用いるヴィヒタ(枝葉を束ねたもの)に加工されたり、樹液はキシリトールの原料としても活用されることから、国民にはとても馴染みのある植物なのです。ぱっとこの写真を見ただけでも、なんとなくフィンランドらしさが感じられるのではないでしょうか。

では、このような森の風景から感じる「フィンランドっぽさ」とは、いったい何なのでしょう。

写真の中にある外形線をなぞってみます。





写真が少し抽象化されて、どこか見覚えのあるようなパターンが見えてこないでしょうか。ただのシンプルな線の集まりに過ぎないのに、有機的で温かみが感じられます。

このように風景から線を取り出してみると、自然の持つ線の揺らぎとリズムをグラフィカルに表現することができます。そのナチュラルな線の装いと要素の反復=リズムはフィンランドデザインに隠されている大事なエッセンスのひとつといえます。



この他にも、フィンランドの風景にひそむ線とリズムはたくさんあります。


例えば、白樺の枝と葉っぱが生み出す線とリズム。粒の小さな白樺の葉っぱは画面全体をリズミカルに埋め尽くし、枝はゆらぎながらものびのびとした線を描きます。


ヒエタニエミ(Hietaniemi)の海岸線。
波が描く地と海の境界線は滑らかで、真っ直ぐに伸びる水平線と調和します。


雪と大地が生み出すやわらかな曲線。


水平に伸びる湖と森と輪郭線はのびやかで、様々なリズムを持った線が重なり合っています。



このように、風景の中には美しい線とリズムがたくさんひそんでいます。それ自体は、フィンランドという土地に限ったことではありませんが、「自然の持つ線をデザインへと展開した」いう点はフィンランドならではと言えるのではないでしょうか。フィンランドデザインからは、自然を身近に感じていたいという人々の純粋な欲求と、自然への敬意の心が感じられます。

今の時代、コンピューターがあれば真っ直ぐな線も規則的なレイアウトも簡単に表現できてしまいます。事実、私たちの身の回りにある現代デザインのほとんどは、手書きではなくコンピューターで描かれた規則的な線から生まれたものです。しかし、だからこそ私たちは心のどこかで自然的なものに安らぎをを求めていて、ゆらぎある自然な線に惹かれてしまうのかもしれません。プロダクトを通して作り手の手仕事や、モチーフとなった自然と繋がることができるのはとても豊かな体験ですよね。

今回は、私たちが見てきたフィンランドの風景を紹介しながら、それらにひそむ線とリズムを紐解いてみました。これらの風景から、なにか連想されるフィンランドデザインはあったでしょうか。このコラムが少しでもフィンランドデザインのエッセンスを「のぞく」きっかけに繋がっていましたら幸いです。




デザインを覗く|01. 線とリズム

( Nordic Journal )

2021.10.30

Text & Photography : lumikka
Written for : LAPUAN KANKURIT