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秋霧の湖

2024.09.25

( Nordic Journal )




少し冷え込んだ秋の朝。
霧が森を、湖を、包み込む。

フィンランドの、とある小さな田舎町。
空気は澄んでいて、空はもう十分に青かった。






遠くの景色はおぼろげで、歩けど、歩けど、見ているその「景色」には近づけていない気がする。霧は大きな波のように流動しているけれど、その行き先もまた、わからない。







長い一本道を進んで、湖まで歩いてみる。
湖の表面を滑るように、霧が流れている。







畦道あぜみちを通って、湖畔まで。

着々と昇る太陽は地と水と空気をあたためて、
わたがしのような霧を溶かしていく。







あかるい日差しが秋の朝に色彩を与え、かすむ霧が地と空の境界を曖昧にする。光が、たしかにそこにある。たしかな手触りを感じていたような気がする。









やがて霧はすっかりと消えてなくなり、また、いつもの光がやってくる。




Ognuno sta solo sul cuor della terra
trafitto da un raggio di sole:
ed è subito sera.

人はみな独りで地心の上に立っている
太陽のひとすじの光に貫かれ、
そしてすぐに日が暮れる

『そしてすぐに日が暮れる』, サルヴァトーレ クァジーモド














秋霧の湖

( Nordic Journal )

2024.09.25

Text & Photography : lumikka